【kindleで読書】
怪談成分(そういう栄養素があれば、の話)は、こまめに摂取したい。
見る・聞く・読む。それぞれに最も相応しい怪談というのがあると信じる私は、それぞれの媒体で、常に作品を手に取れるようにしておきたい。
というわけで。
読む媒体から、また一冊。
【読み始め】2022年5月12日
【読み終わり】2023年2月27日
2022年5月12日
さすがの竹書房!と唸らざるを得ない目次。
豪華執筆陣にリアルに震えた。楽しみー!
2023年2月21日
端末の中で長らく寝かせてしまったけれど、それにはちょいとワケがある。
Kindleで(特にアンリミテッドで)提供される本にほとほと嫌気がさしていた。ネットサーフィンをするように、読了後の『この本を読んだ人は他にこんな本を読んでます』のオススメコーナーから選んで読むのが如何にもAmazon的で面白かったのだが、これがもう……ビックリするほど退屈な本ばかりが押し流され集まって来る。
大体が実体験ベースのエッセイだかお役立ち系だかよくわからない内容の、喩えるなら「個人のBlogをコピペして電子書籍にしてみた」というような……剰え横書きの日本語書籍も有ったりして縦書きに比べて眼球のストロークが短くなるから、とても疲れる読み心地。電子書籍やkindleは悪くないとはわかっているのだが、kindle端末を手に取ること自体が億劫になってしまったのだ。
片っ端からダウンロードしてきた本を整理し、ホントに読みたいものを厳選した結果、漸く心の平穏が戻ってきた。その先鋒というべき作品が本書だ。
やっぱり私が好む本には、このくらいの堅さを読みごたえとして有していて欲しい。友達かよ!?と半ギレしたくなるフレンドリーさは求めてない。怪談、サイコー!
2023年2月27日【読了】
実話怪談、というものはやはり、読むにせよ聞くにせよただ楽しく味わうだけではない何かがある。
或る人にとっては、うしろめたさ。
別の人にとっては、掻き立てられて止まない好奇心。
また別の人には、過去の記憶を掘り返しにくる脅威。
いずれにせよ、楽しむという目的とは別の(ほぼ対極にあるような)感情とも事物とも呼べる何ものかと、隣り合わせになる可能性が大いにある。
それが表面化したときに、霊障と呼ぶのか祟りと呼ぶのか生霊と呼ぶのか気のせいと呼ぶのか……それぞれの判断にゆだねられるところだけれども、実話=ほんとうにあった出来事を、最小限の加工のままに広く伝聞するならばそれなりの「覚悟」というものはしておくのが嗜みというか、最低限の心得というものではないだろうか。
本書には「で、この話を聞かせてくれた人、その後はどうなったんです?」と不穏な気持ちで訊ねたくなる話がたくさん詰まっている。
その人たちが背負った業を、書き手・聞き手はもとより、読み手である私も少なからず肩代わりしてるとしたら……まあ、そういうゾクゾク感も怪談の醍醐味ではあるのだけどね。なので、これ以上は野暮なことは言いますまい。