【kindleで読書】
Kindleストアを眺めていると、実用本・自己啓発本の多さに圧倒され、そして……ウンザリする。電子書籍でもじっくりと腰を据えて読みたい私のようなニーズはほったらかしかよ!と安い居酒屋で悪酔いしたくもなるほどに。
そんな中。Twitterで本書の情報を得た。
そりゃあ、読みますとも!
【読み始め】2023年6月21日
【読み終わり】同上
2023年6月21日【読了】
清々しいほどに感情移入できない主人公に、むしろ好感を持った。
読ませる文体とプロットで、あっという間に読み終えてしまったのだ。
昨今流行りの共感の押し売りには、SNSフォロワー獲得法やkindle副業化と同じくらい、辟易している私である。共感も同情も出来ない主人公だからこそ、その行く末を知るのが怖くもあり、ちょっとは救われてもいいのでは……と無責任に祈ることもできる。
「だれだって、こういう雰囲気大好きですよね!」
「女子だったらこういうの、絶対に泣いちゃうじゃないですかあ!」
私をその数のうちに勝手に入れるな、痴れ者め。
――私はそういう人間なので。
本書の主人公・はっちゃんくらい己が内に立てこもって、誰とも意思のすり合わせをしようとしない。そこには「在る重大なキャラクタデザイン上の設定」があるのだけれど、むしろこれが書物という装置の中ではほどよい距離感を創り出していたように感じたのだ。
純文学というジャンルにはてんで疎い私だけれど、本書のような物語をどう分類するかと問われれば、迷わず「純文学」と答えてしまうと思う。
途中で投げ出させない創意と、最後まで読ませてしまう熱量。これぞ文『学』じゃないですかね?