あらたま@メモ魔通信

くらしの一コマ、ねこ、きもの、ラーメン、読んだ本、などな日々の活動メモ。書いて、読んで、猫と暮らす。丁寧ではないし、断捨離もしてないし、OLもしてません。

【読書記録】告白

 

 本屋大賞片っ端から読んでみよう!企画の二冊目。

 湊かなえ節、大好き。というわけで、四の五の言わずに読み始め。


【読み始め】2023年5月24日
【読み終わり】2023年6月20日

 

 

 

2023年5月25日
 映画で観ていたことを思い出してきた。
 とたんに第一章が松たか子氏の声で朗読されてるような錯覚!
 嗚呼、あの映画のキャスティング、見事だったなあ。
 
2023年5月28日

 湊かなえ作品の何が好きだと言って、未成年の描き方にあると思う。

 聡いけれどもそれ故に自我がくっきりと確立しているけれど、大人を糾弾しつつ己が脆さを隠すことに必死。決して正しさや無垢の象徴ではなく、剥き出しの『人間』として物語の中に立っている。

 その湊流未成年のカウンターとして、ウェルテルが登場するわけだけど、そこまで彼に背負わせるか⁉と心配になるほど容赦のない洗礼を浴びせられるのも、未成年というカテゴリを聖域化しない氏の作風ならではなのじゃなかろうか。

 

 

2023年6月20日【読了】

 読み終えて第一声は「あー!もう一回映画の『告白』をみなけりゃならん」だった。映画化にあたっての中島哲也監督のインタビューを読んではなおさらだ。

 タイトルに偽りなし。

 一連の事件の関係者による『告白』がパズルのように物語を一枚の画たらしめる本書は、私の大好きな構成であり、湊かなえというストーリーテラーの毒気とユーモアの乗った筆によってグイグイと読まされる一冊。

 監督も仰る通り、告白というものは得てして独善的な主観によってなされることが多いから、登場人物が巧妙に嘘をついている可能性を大いに秘めている。そこに人間の記憶の曖昧さ・防衛本能による記憶書き換えなんて動物的作用が加われば、真実なんてどこにあるんすかね?ってなもんである。

 

 断罪はするけれど、法の場に引きずり出して裁くのではない。むしろ、常識的に言って「正しい」とされるそのプロセスに、NOを突きつける。それぞれの立場で、それぞれの言い分でもって、思い思いに告白する大人たちと子供たち。

 クソ説教臭くなりそうなテーマを、見事にエンタメに昇華して、投げっぱなしの大技をこれでもかと繰り出してなお、ある種の爽快さを与えるあたり――湊かなえって小説家は腹黒系小説界隈のスーパースターだなと改めて思う次第デス←これ以上ないってくらい褒めてる。