あらたま@メモ魔通信

くらしの一コマ、ねこ、きもの、ラーメン、読んだ本、などな日々の活動メモ。書いて、読んで、猫と暮らす。丁寧ではないし、断捨離もしてないし、OLもしてません。

【読書記録】異形の箱庭

文学フリマ福岡9にてお迎えいたしました

 #文学フリマで買った本 や各種イベントでお迎えした本もブログで読書記録を残すことにした。

 本に、同人も商業も関係ない――そのスタンスを、より明確に打ち出していく。

 ※書影は私が独自に撮影したものです。作者様や発売元様よりご要請ありましたら、画像の削除又は差し替えることがあります。


【読み始め】2023年11月29日
【読み終わり】2023年12月3日

 

 

 

2023年11月29日
 嗚呼、なんと瑞々しい!
 思春期特有の鼻筋の高さ、肌のきめ細やかさ、そこに浮かぶ強い自我。
 ある研究によると、思春期を迎えた女子のメンタルが物理的オカルティックな現象を高確率で引き起こす可能性があるらしいけど、本書の主人公くらい尖ったキャラクタの持ち主であればそれも納得してしまうかも……そういう観点からしても、主人公像を「この位置」で練り上げた手腕に軽く嫉妬。
 
2023年12月3日【読了】

 未成年女子の危うさ、大胆さ、知識で鎧ったがゆえの苛烈さ……私がもはや書こうとしても書けない『若さ』が、残酷物語として煌めく様をハイスピードで読み進める幸せときたら!

 

 文学フリマという場で出逢う物語の醍醐味を、存分に味わった。
 大手版元で「大多数に売るため」に手垢をベタベタつけられた本ではこうはいかない。作家の祈りにも似た、書きたいという願いを今どきの大手版元はどれだけ昇華できてるだろう?
 先日の読書メモでも少し触れたけれど――

tama-memo.hatenadiary.jp

 読者に誠実なのはもちろん、フィクションであろうとも描き出す怪異に対して、作家は誠実であらねばならないと思う。怪異が人に仇を為す存在であろうとなかろうと、怪異が怪異として存在する理由は何なのか?それを深く見つめ、掘り下げた物語が私は大好物であり、この物語もまた――己の身のままならなさに苛立ち、剰え意味不明なモノに襲われ囚われて、この世の理不尽へ華麗なる反抗を試みようとする主人公・朱璃を思わず応援してしまいたくなるくらい愛おしい。

 

 私は怪事件のすべてが綺麗に解決されることに胡散臭さを覚えるタイプなので、わかんないコトはわかんないままにされることに抵抗が無いけれど、なんとなく「続きの物語」が用意されているのかなあ?と期待をさせるラスト。
 さて、朱璃「ちゃん」は、どんな朱璃「さん」に成長して、この箱庭をひっかきまわしていくのだろう……楽しみ♪