先日読んだ『鬼談百景』にゆるく絡んでくる、長編小説(というか創作ドキュメント?)。読んでいる途中も、読み終わってからもこれを「小説」と呼ぶのはどうにも抵抗があるんだけど、帯*1にはそう書いてあるから現状の業界では小説なのでしょう。
夏の怪談祭り(参加者:私だけ)のクライマックスで本書を読んだのだけど、正直なところ盛り上がりに欠けました。地に足が着きすぎてるというか、気持ち悪さのキレが悪いというか、悪い意味で「真面目すぎる」って感じ。
前述の『鬼談百景』の中に収録されている「とあるお話し」が、実は根深くてやっかいでね------というのが大まかな本書の内容なのだけど、淡々と・真面目に・飾り無しの「鬼談スタイル」そのままに長編を連ねたという印象で、怖い話を読んでるという雰囲気では無くなってしまったのでした。
ただ、筆者と仲間達の取材力の高さは脱帽物!よくぞそこまでたどり着きましたねえと感心しきりで……うん、これも怖いとか気持ち悪いとかっていう範疇ではないなあ。
『屍鬼』『黒祠の島』『魔性の子』ラインの小説を、どうしても期待してしまっていたので、この肩すかし感はどうにもぬぐえません。
少しのあいだリフレッシュしたら、新装版『魔性の子』を読もうかな。
*1:帯の内容にも少々腑に落ちない点があるんだけど、それには今は触れないでおきます