夏休み、ちびちびと読み進めて、存分に楽しんだ一冊がこれ!お世辞でもなんでもなく、読み終えてしまうのが本当にもったいなかった。
すごく気に入ったので、秋になっても何度も読み返してしまおうかなと考えています。
99編の実話系怪談が納められているのですが、そのどれもが淡々としたレポートのよう。
放課後の教室で神妙な顔をした友人が「あのね、これお友達のお兄ちゃんから聞いたんだけど------」のような身近な話を、無駄な装飾無く変な落としどころもつけず、ただただ聞いたままを文章にしたという感じです。だから、特にそれらしい理由も何もない怪異の話に至っては、よくわからないけど気持ち悪いねえと投げっぱなしのままなので、背筋のゾゾゾッが長く続きます。いい!
1編1編は極々短くまとめられていますから、テンポも良くて、ページをめくる手が止まらないので、ついついハイスピードで読んでしまうのが困ります。
怪談は一話ずつじーっくりと、なめるように味わいたいもの。細部にわたって凝りに凝った装丁も愉しみながら、残暑を乗り切りたいです。