本屋さんに平積みされていた本書は、書店員さんの手書きポップで「だまされてみたと思って読んでみて!後味が悪い話ゆえに『やられたっ』と唸らされるはず」猛烈プッシュされていました。
そのせいかな。読む前からハードルを上げすぎてしまったみたい。私には「あまり響いてこないミステリ」でございました。
タイトルにもなっている「ピース」は、何重もの意味を持たされて物語りの軸になっています。その軸の揺るがなさゆえか、陰惨なバラバラ殺人事件を取り巻く人・環境はあまりに「平和」すぎ、物語の輪郭たる登場人物たちが受け持つ「断片」は必要以上に小さく切り分けられて散漫な印象を受けました。いくら田舎が舞台だと繰り返しても、もうちょっと緊張感があっても良かったのではないかなあ、とか。
とにかく、読んでいて盛り上がらない。そして、どうでもいい細かいところ*1ばかり気になって気になって、変なストレスがたまっていったのです。
だから。最後のどんでん返しも、ちっとも驚けず「後出しじゃんけん風ですね……」なんて、ものすごーく醒めた感想しか持てませんでした(我ながらかなり酷いと思います。ごめんなさい)
解説を書かれていた方はべた褒めだったのですが、ほんとに私はダメでした。相性最悪だった。
この作者の他の作品も読まないと、おもしろさの神髄にたどり着かないのかなあ。
*1:たとえば。車両とか車と言う人が一人も出てこないこと。みんなクルマって言う。