空の中 (角川文庫)posted with amazlet at 10.10.08
途中で、読むのをやめてしまおうかと思いました。
読みにくい本ではないのです。むしろ、読ませ上手で、巧いと思います。
ただ、私が「正統派の、礼儀正しいSF」を読みたかったため、青春あり・恋愛あり・未知との遭遇あり・少年と動物(?)のハートフルな交流あり……と、何でも盛り込んである本書は、めまぐるしすぎて疲れてしまったのです。
TVを楽しく見ているのに、隣で勝手にザッピングされてる感じに近かったかなあ。
とはいえ。
未知の生命体とのコミュニケーションや、その生命体の成り立ちを推察していく過程など、スリリングなSF要素はとても面白かったです。傑作と評される、翻訳もののSF作品にも引けをとらないくらい、ワクワクしましたし巧さに感心しました。
飛行機乗りの彼女と特殊法人の彼の関係も、本編のスパイスとして効いていて好感度大。
今度本書を手に取るときは「豪華なSFエンタテインメントを読みたい!」という気分のときにします。
それならば、きっと存分に楽しんで、スッキリとページを閉じることが出来ると思うから。